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映画『ラ・ラ・ランド』 どんなに愛し合っても運命の人とは限らない

2017年4月25日山田イトウ
映画『ラ・ラ・ランド』 ダンス
今年の米アカデミー賞最多ノミネートで、作品賞最有力といわれながら『ムーンライト』に奪われてしまった、しかも授賞式でのハプニング付きで。
『ラ・ラ・ランド』はミュージカル映画で、(私の知る限り)アメリカ人はミュージカルが大好きで、ニューヨークのブロードウェイも有名だし、ハリウッドもいくつもの有名なミュージカル映画を作ってきている。

『ラ・ラ・ランド』はハリウッド式の普通のセリフもありながら、歌って踊るタイプの作品。
ブロードウェイなんかはセリフが全部、歌の場合もある。
ハリウッドのミュージカルは、古くはフレッド・アステアという名優がいて、その後にはジーン・ケリーが現れてという系譜がある。
ブロードウェイとハリウッドの見事な融合としては『ウェストサイド物語』あたりだろうか。

日本人にはミュージカル・アレルギーがあるらしく、いきなり人々が歌い出すことに違和感を感じて「嫌い」という人も多い(タモリとか)。
この作品は歌や踊り、そして映像も素晴らしいできだが、物語もしっかりしてるので恋愛映画として楽しめると思う。

ということで、今回もネタバレありで、この作品の中のカップルの運命と共に幸せな結婚ってなに?というところを探りたい。

ハッピーエンド?それともバッドエンディング?

『ラ・ラ・ランド』はどんな物語か?ミュージカルだと、どうしても物語が薄味になってしまうのでは?いえいえ、そんなことはありません!

夢を追う者が集う街・ロスアンゼルス、女優志望のミア(エマ・ストーン)と将来ジャズ・バーを開業したいと思っているセブ(ライアン・ゴズリング)が、出会い恋に落ちる。
冒頭のロスアンゼルス名物(?)のハイウェイの渋滞のシーンから、素敵な歌と踊りでオーニングを飾る〜で、その中でミアとセブは最悪の出会いを迎える、お互いに相手に最悪の印象を持つことに。

ミアは映画スタジオ(これが古くからある大手スタジオのようなところ)のカフェで働きながら、いくつものオーディションを受け続ける日々を送っていた。
オーディションを受けに行っもまともに対応もしてもらえなかったりと、落ち込む日々が続くミア。
そんなある日、いつものようにオーディションに落ちて意気消沈しながら家路に着くミアの耳に、場末のバーから流れてくるピアノの音色。
その音色に誘われてミアがバーに入っていくと、そこでビアノを弾いていたのはハイウェイで最悪の出会いをしたセブだった!

はい、ハリウッド映画の脚本の基本「運命の出会いは2度ある」です(笑)
映画の場合は偶然ですが、実生活では偶然を自分で演出するって大事ですよね〜

さてセブはこのバーのピアノでジャズを弾いたので、即クビ!になって店を追い出されます。
ミアは女優になりたい!セブは思いっきりジャズピアノを弾きたい!夢を持つ二人は急接近して恋に落ちます。

最初の印象が悪いと、その後の展開次第では、逆に相手がよく見えてしまうというパターンですね。

お互いに励まし合う二人、そして心が折れそうになるミアの背中を押して、遂に彼女に大きなチャンスが訪れ!
彼女はそのチャンスを見事に手に掴み、そしてパリで夫と子供も手に入れて、幸せいっぱいでハリウッドに戻ってくる。
一方、セブも遂に自分のお店を手に入れて思う存分、ジャズを弾いている、そう二人とも自分の夢を手に入れた!
でも、セブとミアの恋は成就しなかった・・・そんな二人が、再びセブのお店で再会して映画は場面転換へ!!

セブとミアの二度目の偶然の出会いの場面からやり直す、二人のダイジェストが映像で流れ始める。
それはセブとミアが自分たちの夢を諦めて、二人の愛を選び家庭を作って幸せに暮らしている映像、いったいどっちが現実?

結論は切ない方でした。
この作品の監督は、前作『セッション』でも夢を叶えるのは甘くないということを描くのが好きっぽいのですが、この作品でも夢を手にするには捨てるものがたくさんある!というテーマの作品でした。

個人的にはミアは夢を叶え、素敵な夫と子供に恵まれ、セブも自分のお店を持ち心ゆくまでジャズを奏でることができるようになった!ある意味ハッピーエンド
でも本当はエマはセブを選ぶべきだったのか?それとも今の夫を選んで良かったのか?
それは見た人それぞれの考え方ですね、映画的にはエマとセブの物語なので思い入れができちゃうのでバッドエンドですが。

なぜ?アメリカ人は絶賛するのか?

マジックアワー、夕日 エマが女優を夢見て、その夢を実現するアメリカン・ドリームを体現する映画です!そしてセブも成功を手に入れます。
もう『ロッキー』なんかと一緒です!(笑)
全世界中の人々はシンデレラ・ストーリーが大好きですが、アメリカ人は自分の手で成功を掴み取る!アメリカン・ドリームがもっと大好きです(笑)

この作品はハリウッドやフランスのミュージカル映画をベースに描かれています。
特に物語の部分に関しては、フランスの名作、ジャック・ドゥミ監督の『シェルブールの雨傘』がベースになっています。
『シェルブールの雨傘』も出会った若い二人が恋に落ちますが、その後、女性の方が別の男性と結婚して幸せな家庭を築き、そして再会するというお話です、『シェルブールの雨傘は本当に切ない映画です。

このお話をベースに、踊りのシーンでは過去のミュージカルへのオマージュたっぷり、色んな作品で見たことのあるようなシーンにあふれている。
でもこの作品が凄いのが、例えばオープニング、本当にロスアンゼルスのハイウェイを閉鎖して撮影している。
更に!
写真を撮る人ならよく使う「マジックアワー」、この作品でも夕方のマジックアワーを背景に踊るシーンがある。
過去のハリウッド作品は、スタジオ内のセットで撮影して照明でマジックアワーを演出したが、この作品は実際にロケ(外の空の下)で実際のマジックアワーで撮影している。
ちなみに映画は1日の撮影で使用できる尺が、本編の3分から5分くらい。
それだけ準備にも時間がかかるということ、マジックアワーでの撮影は失敗したら翌日に持ち越しになる、しかも天気にも左右される。
それをやり切ってるところが、この作品や監督の評価ポイントになっている。

作品の中にデートスポットとしてグリフィス展望台が出てくるけど、ここはロスアンゼルスに住んでいる人には有名なスポットらしい。
ロスアンゼルスで有名なHOLLYWOODの看板、あの山の頂上にもあるということで、映画にも度々登場するスポット。
これまで一番有名な映画作品は、ジミー(ジェームス)・ディーンが主役を演じた『理由なき反抗』で、それ以外にジム・キャリーの『イエスマン “YES”は人生のパスワード』とかにも使われているロケ地。

ハリウッドに住む人々でエンターテインメント産業に関わっている人も多く、その人たちは一握りの人しか掴めない夢を追って日々暮らしている、そんな姿を描いていることに共感していると思う。
まぁ〜そんな私も、夢を掴めてないんですけどね、だからこそ夢を目指している人たちを応援したくなる。

それに欧米人はとにかく歌が好き!(笑)
あっ、根拠はありません、日本人も好きだと思いますが私の印象では欧米人は平気で外で鼻歌を歌ってる気がします。
そしてミュージカル映画はやっぱり音楽が命、この映画のサントラも大ヒットしていますが、映画を見終わっても耳に残る音楽なんですよね。

チャンスは選べない

ミュージカル映画としても成功している『ラ・ラ・ランド』だが、上記に書いてきたようにラブ・ストーリーとしても甘くてほろ苦い世界観が素敵で私は大好き!
しかしこの映画でも、現実でも確実に言えることだけど、夢も恋愛もチャンスは選べない!ということ。
それを運命っていうのは安易な気もするけど。

『シェルブールの雨傘』でも『ラ・ラ・ランド』でも、後から現れた男性と主人公の女性は結婚を決断する。
セブはチャンスの時に背中を押してくれた大切な男性ではあるが、ミアが結婚した相手は彼女をスターへとステージを引き上げてくれた王子様、そうシンデレラ・ストーリーのプリンセスにしてくれるのはセスではなく、結婚相手だったということ。
『ラ・ラ・ランド』の中では、結婚相手のことはあまり描かれないけど。

やはり男は、女性を新しいステージに引き上げる力を求められているということは間違いない。
人間関係そのものかもしれないけど、GIVEすることができる何かを身につけることが男性に求められるんだと思う。
だからどんなに好きな相手でも、運命の人とは限らない!

映画のウンチク

『ラ・ラ・ランド』で監督のデイミアン・チャゼルは、第89回アカデミー賞監督賞を史上最年少で受賞!
これは上にも書いた、とても凝った演出をしているから同業者(映画関係者で構成されるアカデミー会員たち)が投票するアカデミー賞では評価がされやすいというのはある。

一方で前作『セッション』もそうだが、監督本人が高校でジャズドラムに打ち込んでいたこともあって、ジャズへの強いこだわりが判る。
ただ、ジャズの専門家からは、『セッション』でのジャズそのものへは批判も多くでているみたい、私がジャズが判らないので詳しい人や情報を読んでの話だけど。
この作品は黒人層の多いアメリカの州とかでは見られておらず、黒人の支持はほとんどないらしいというのも面白い。

前述の『シェルブールの雨傘』だけではなく『ウエストサイド物語』や『雨に唄えば』などの名作ミュージカルへのオマージュもあって、それをパクリと思うか?
『ラ・ラ・ランド』では上手く自分の演出に取り入れているので、ハリウッドでは拍手喝采といったところ、私も上手いなぁ〜と思う。
私の場合はミュージカルは好きだけと、たまにブロードウェイ・ミュージカルを映画化したものでハズレはある、『シカゴ』とか『NINE』とか単純に音楽が私に合わなかったという作品たち。

ミュージカルで一番好きな映画は?というと『サウンド・オブ・ミュージック』になってしまうけど(笑)
ということで、ミュージカル・アレルギーのない人には『ラ・ラ・ランド』はオススメの映画

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