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レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBT)な映画たち

LGBTの旗
LGBTという言葉を知っていますか?レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの各語の頭文字です。
今年(2017)の米アカデミー賞作品賞を受賞したのは、黒人男性同士の恋愛劇を描いた『ムーンライト』でした。

世界でも、そして日本でもLGBTというマイノリティーの人々の権利が見直されてきています。

映画界の取り上げ方

映画界も数多くの作品で取り上げています、それは差別と戦う映画の一つの側面です。
偏見というのは「無知さ」からくることが多い、だから映画が正しい姿を伝えることは更に重要となってくる。

20年ほど前から世界の映画界では、LGBTを正面から描くようになり、この数年は欧米だけではなく、日本でも少しずつ取り上げられるようになっている。
昨年大ヒットした『怒り』にしても、ゲイのカップルが登場してお互いの誤解から心のすれ違いを描いている。
妻夫木聡と綾野剛の体当たりの演技が話題になった。
同時期に小池真理子の長編小説を映画化した『無伴奏』では池松壮亮と斎藤工の濃厚な愛が描かれている。

映画になることで理解は深められつつある、無知を理由に人の平等を犯すことが許されるのだろうか?
これから紹介する映画を見てもらうことで、LGBTへの知識、理解を深めていただけると嬉しい。
個人的には、LGBTへの差別だけではなく、人種や宗教などのあらゆる差別がなくなることを願っている。

LGBT映画の始まりは『フィラデルフィア』だった

アメリカではかつては(今もだが)黒人に対する差別が大きく、それを描いた作品は数多くある。
LGBTが注目を集めたのは、1990年代のエイズという病気の存在だろう。

エイズはLGBTの撒き散らした病原菌という誤った認識から始まった。
それを真正面から描いた『フィラデルフィア』(1993)は衝撃的でも有ったし、感動的な作品であった。
マイノリティーを差別の対象として排除する人々との戦い。

そこには真の平等とは?という精神が描かれている。
平等をモットーとする国・アメリカにおいて、エイズはその根幹を揺るがす”事件”であった。

アジアから『ブエノスアイレス』が生まれ『ブロークバック・マウンテン』へと続く

1997年にウォン・カーウァイ監督の『ブエノスアイレス』がゲイの映画として衝撃を与える。
男同士の愛を描いた作品、そして作品の質の高さもあり、LGBTの初期の代表作となった。

ハリウッドではそれから8年後の2005年にアン・リー監督の『ブロークバック・マウンテン』が発表される。
アカデミー賞作品賞はノミネートのみとなったが、この年作品賞を受賞した『クラッシュ』と並ぶ傑作だったと思う。
世界的な評価としては『クラッシュ』より『ブロークバック・マウンテン』の方が高いものとなっている。

『ブロークバック・マウンテン』がアメリカのベトナム戦争時期の保守的な人々、カウボーイであり白人男性の愛を正面から描いた点で画期的だった。
そこには差別に対する意識から自分たちの愛をカミングアウトできずにいた人々が描かれることで、アメリカが変わっていくことを逆説的に描いていた。
この作品への高い評価を契機に、素晴らしいLGBT映画が生まれてくる。

見ておくべきLGBT映画の数々

私の知っている範囲でこれは!というLGBT映画を上記のものを除いて羅列してみた。
  • マイ・プライベート・アイダホ (1991) ※ リヴァー・フェニックス、キアヌ・リーブス主演
  • プリシラ(1994) ※ ドラッグ・クイーンのロードムービー
  • ボーイズ・ドント・クライ(1999) ※ トランスジェンダーの役を演じたヒラリー・スワンクがアカデミー賞主演女優賞を受賞
  • ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(2001) ※ 性転換手術を受けロックシンガーとなった主人公の波乱万丈の人生を描く
  • めぐりあう時間たち(2002) ※ ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープ共演!
  • トランスアメリカ(2005) ※ 性同一性障害に悩む父親と息子のロードムービー
  • ミルク(2008) ※ 社会的地位向上のために立ち上がった伝説の活動家ハーヴィー・ミルクの人生を描く
  • シングルマン(2009) ※ コリン・ファース、ジュリアン・ムーアが共演
  • フィリップ、きみを愛してる!(2010) ※ ジム・キャリーとユアン・マクレガーがゲイ・カップルを演じたコメディ
  • 人生はビギナーズ(2010) ※ ゲイであることをカミングアウトした父親(クリストファ・プラマー)に戸惑う息子(ユアン・マクレガー)を描く
  • キッズ・オールライト(2010) ※ 子供を育てるレズビアン・カップルをアネット・ベニングとジュリアン・ムーアが演じる
  • パレードへようこそ(2014) ※ ウェールズで実際に有った話を映画化
  • わたしはロランス(2012) ※ カナダの新鋭グザヴィエ・ドラン監督が描く、心と身体の性の不一致に悩む男性と打明けられた彼女との愛を描く。
  • キャロル(2015) ※ 禁断の愛を描いたケイト・ブランシェットとルーニー・マーラ共演の作品
  • ムーンライト(2016) ※ 貧困地域に産まれた黒人少年の成長と愛を描いたアカデミー賞作品賞受賞作品
コメディからシリアスなドラマまで幅広い作品が生まれてきている、上記は外国映画であり、日本では2001年に『ハッシュ!』というゲイのカップルの映画も登場している。

LGBTの平等を求めた作品『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』

2015年に製作された『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』は、ドキュメンタリー映画としてアカデミー賞を受賞した実話を映画化したもの。
ベテラン女優ジュリアン・ムーアとレズビアンであることをカミングアウトしているハリウッド女優のエレン・ペイジが共演している。

主人公のレズビアンの二人は、異性でないために夫婦として認められず、パートナーに残したいものを渡す権利を奪われてしまっている。
本来、男女のパートナーなら結婚という形で保証されているものが認められていない

病院で親族・家族しか病室に入ることを許されない、財産分与も許されない・・・それは正式に同性婚が認められていないことが最大の障壁となっている。
人は時として、自分と違うものに対して受け入れる寛容さを失っている

この作品自体も感動的であり、ジュリアン・ムーアの病身の演技が鬼気迫るものがあり、またそれを支えるエレン・ペイジも素敵だった。
LGBTの純粋な愛を描いた作品から、この作品のような人として生まれてきた時に与えられるべき平等の権利を勝ち取るための戦いの映画も生まれてきた。

そして養子縁組の問題

レズビアンやゲイ・カップルには養子縁組というものがありますが、大きく2種類になるらしい。
同性婚が法律的に認められていない以上、財産を残す等の権利を行使するために、パートナー同士が親子関係になるというものです。
これはあまりにもいびつであり、当事者の人格を踏みにじるものと感じています。

今回はそちらの養子縁組ではなく、レズビアンやゲイ・カップルが、本物の養子縁組をして(カップルが)親として育てるという話です。
アメリカでは2012年に『チョコレート・ドーナツ』という作品が生まれます。
遅れて日本では2017年に『彼らが本気で編むときは、』という作品が生まれます。

前者の『チョコレート・ドーナツ』はゲイのカップルが養子縁組をするというもの、その裁判の過程で自分たちの主張を繰り広げます。
アラン・カミングの名演もあって、非常に感動的なドラマに仕上がっています。

後者の『彼らが本気で編むときは、』はジャニーズの生田斗真が、トランスジェンダーの女性を演じています。
無理解な母親に育児放棄をされた子供を養子に迎えたいと言いますが、またこのカップルの前にも大きな壁が立ち塞がる。

日本でも日々、貧困による育児放棄や親の無理解による虐待が起きています。
そして夫婦の収入の問題から、子供を持たない、もしくは子供を一人までという家庭も増えています。
しかし同性婚を認め、その夫婦に養子縁組の権利を与えることで、不幸だった子供や中絶で失われた命が救える可能性がある気がします。

『赤ちゃんに乾杯!』(1985)やアメリカでリメイクされた『スリーメン&ベビー』(1987)は、3人の男性が赤ちゃんの育児に悪戦苦闘するというコメディ。
男性だけ、女性だけの子育てっていうのもありなのでは?カタチではなく子供に注ぐ愛情の量だと思うのだけど。

『チョコレート・ドーナツ』や『彼らが本気で編むときは、』を見ると、映画の持つ力を感じつつ、現実の世の中での無力さを感じます。
LGBTカップルへの偏見を減らし、平等を認めることで少子化の一部にも光明が見えると思うのは自分だけなのだろうか?と。

『彼らが本気で編むときは、』の公式サイトはこちら

日本では、欧米に比べて差別に対する意識が低いような気がする。
『彼らが本気で編むときは、』が海外(欧米)で高い評価を得たように、もっとたくさんの人々に見てもらえると嬉しいし、もっとこのような作品が出てくれるのを願っている。
今秋にはWOWOWで「連続ドラマW 東野圭吾『片想い』」(全6話)が放送される。
東野圭吾がジェンダーを題材にしたミステリーのドラマ化、こちらも期待。

形から入ろうとしてませんか?「カタチなんて、あとから合わせればいい」と思いませんか?

関連記事(サイト内リンク):カップルで見るときの映画選びはこれ

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